任意整理の交渉
任意整理の交渉は、債務者自身が言い出そうものなら、
「そんなことを言う前に、全額耳をそろえて返せ」
と業者に言われかねない。
また、身内に交渉を頼んでも、そこは相手はプロ、
「借りたものは返すのが常識でしょう」
などと言われて結局、業者の言いなりになって全額を支払う場合が多い。
身内が全額を返すと、業者からはお得意さんとみられ、借金した当人のほうは、その後も同じようなことを二度、三度と繰り返すケースが多い。
借りている側に弱みがあるから仕方ないと思うかもしれないが、実は業者側にも弱みがあるのである。
債権回収の鉄則に「ない者からは取れない」というのがある。
返済能力がないからといって、まさか強制労働や売春などを強要することはできないし、かといって債務者の身内に請求すれば貸金業規制法違反で処罰されかねない。
さらに、自己破産でもされたら、ほとんど回収は不能である。
要するに、業者にも弱みがあるのである。
要は、実情を話して、粘り強く交渉することである。
そのためには、交渉の方針というものが必要になってくる。
ここで、弁護士が任意整理を行なう場合の原則を述べよう。
(1)利息制限法に基づき債務を計算し直して、この金額を基に交渉する。
業者は「みなし弁済規定」の適用を主張するが一切認めない。必要があれば、取引経過の開示を求める
(2)期限の利益の喪失(1回でも支払いが遅れたら全額=炭に返す)の主張や遅延損害金(通常利息の2倍)の主張は一切認めない
(3)分割弁済においては、完済までの将来の利息は一切つけない
(4)cに基づき債務を計算し直した結果、過払いとなっているときは、必ず過払金の返済を求め、場合によっては過払金返還請求を起こす
(5)交渉過程で悪質な取立てを行なう業者に対しては、行政処分の申立て、刑事告訴、取立て禁止の仮処分、慰料請求訴訟の提起などを行なう。
なお、これは債務者が弁護士に任意 整理を依頼した場合で、業者に受任通知が届いた後は、債務者本人に対して返済の請求をすることは禁止されているからである。
作意整理は交渉事である。
要約ではこうなっている」「法律ではこうなっている」等々の主張が業者側から当然出てくるが、一度決まったものを変えてはいけないというものでもない。
しかし、交渉事である以上、支払いが少なければ少ないほどいい、などといった主張では相手は納得してくれない。
どうしたいかという方針は事前に決め、その線にそって根気強く交渉することである。
なお、複数の業者から借金がある場合には、全部=炭に任意整理することである。
納得しない業者によって、給料等の差押えがなされたりすると、
一部の業者との任意整理の話がついていても返済計画の実行が困難になるからである。
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