悪質な取立てには、こう対抗する
サラ金・クレジット業者のキャッシングは無担保で融資を行なうため、債権回収のための督促・取立ては厳しいものとなる。
自殺や一家心中などの借金苦を原因とする惨劇の中には、過酷な取立てを原因とするものが多く、このため貸金業規制法は悪質な取立てを取り締まる規定を置いている。
この取立規制ができる前は、脅迫罪や強要罪など刑法に規定されている罪に該当する取立てしか処罰することはできなかったが、
この取立規制の制定により、悪質な取立てを取り締まるこ とが可能になったのである。
貸金業規制法が規定する取立規制の内容は、
「債権の取立てをするに当たって、人を威遺し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない」
というものである。
この条文に出てくる「人を威迫し」とは、脅迫にまでは至らないが他人に対して言動動作などをもって気勢を示し、不安を生じさせることをいい、
「私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」とは、威力を示すわけではないが、人の私生活や業務の平穏な進行を阻害する言動をいい、
「困惑させ」とは、威迫や平穏を害するような言動によって心理的威圧を加え、精神的に自由な判断ができないような状態にすることをいうとされている。
こう説明されても、抽象的すぎて何だかよくわからないだろう。
そこで、大蔵省は通達で具体的に禁止行為を明らかにした。
この通達では、つぎの取立行為が禁止されている。
(1)正当な理由なく、午後9時から午前 8時までその他不適当な時間帯に債務者・保証人などに電話・電報で連絡したり、これらの者を訪問したりすること
(2)反復または継続して債務者・保証人などに電話・電報で連絡し、もしくはこれらの者を訪問すること
(3)暴力的な態度をとったり、大声をあげたり、乱暴な言葉を用いたり、多人数で訪問したりすること
(4)はり紙・落書その他いかなる手段を問わず、みだりに債務者の借入れに関する事実を公然化すること
(5)債務者や保証人などの勤務先を訪問し、債務者・保証人などの勤務先での立場が不利益となるような言動を行なうこと
(6)他の貸金業者からの借入またはクレジットカードなどの使用などにより弁済することを要求すること
(7)法律上支払い義務のない者に対し支払請求をしたり必要以上に取立てへの協力を求めること
(8)債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知を受けた後に、委任者である債務者・保証人に対し、正当な理由なく直接支払いを請求すること
(9)債務者や保証人が調停その他裁判手続きをとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく直接支払請求すること
(10)その他、正当とは認められない方法によって請求をしたり取り立てたりすること
以上の取立規制に違反すると貸金業者は懲役・罰金などの刑事罰、また業務停止、登録取消といった行政処分を受けることになる。
また、債務者や保証人あるいは家族などが、貸金業者より前記の違法な取立てを受けた場合には、貸金業規制法の取立規制違反で警察や検察庁に対して告訴・告発をして刑事処分を求めることができ、
また監督行政庁に対しては行政処分を求める申立てができる。
また、取立行為が悪質で不法行為となる場合には、損害賠償の請求が可能である。
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