自己破産のデメリットは意外と少ない
自己破産すると、一生まともな生活が送れないと思っている人がいるとしたら、これはとんでもない誤解である。
確かに自己破産の申立てをして破産者になれば、本人にとって一定の不利益は生じるが、破産宣告がなされ、その後免責されることによって復権し、破産前の状態に戻ることになるので、一般の人が考えるほどの不利益ではない。
つまり、特に不利益が生じる期間は、破産宣告がなされてから免責までの期間だけなのである。
では、破産者の受ける不利益とはどんなものだろうか。
まず最初に、破産者は破産宣告時に持っていた財産の管理処分権を失うことになり、財産の管理処分権は、破産管財人に属するということがあげられる。
ただし、破産宣告後に破産者が新たに取得した財産は、破産者が自由に管理処分でき、破産すれば生活ができなくなるということはない。
なお、債務者の財産が少なく同時廃止決定がなされた場合は、破産宣告時に持っていた財産の管理処分権は喪失しない。
次のデメリットは、破産者は拘束(自由の制限)を受けることで、その内容は以下のとおりである
● 説明義務
破産者は破産管財人や債権者集会の請求により破産に関し必要な説明をしなければならない。
● 居住の制限
破産者は、裁判所の許可がなければ居住地を離れて転住、または長期の旅行をすることができない。
● 引致・監守
破産者は裁判所が必要と認める場合には、身体を拘束されることがあり、逃走または財産を隠したり壊したりする恐れがあるときは、監守を命じられることがある。
● 通信の秘密の制限
破産者にあてられた郵便物などは破産管財人に配達され、破産管財人は受け取った郵便物などを開封できる。
ただし、同時廃止決定がされた場合は、以上のような拘束はされない。
最後に、公私の資格制限を受けるというデメリットがある。
● 公法上の資格制限
破産者は弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、税理士、宅地建物取引業者等になれない。
現に資格を有している人は資格停止となり、免責によって資格は復活する。
選挙権、被選挙権などの公民権は喪失しない。
● 私法上の資格制限
破産者は後見人、後見監督人、保佐人、遺言執行者などになることができない。
また、合名会社および合資会社の社員は退社事由となり、株式会社の取締役、監査役については退任事由となる。
以上が破産者の不利益の内容だが、破産者が免責決定を受ければ、これらの不利益はすべて解消することになる。
しかし、自己破産しようかどうか思 い悩んでいる人は、これ以外にも多く の不安があると思う。
そこで、私が偲頼者から受ける典型的な質問について触れておこう。
◆ 自己破産すると一生みじめな生活を強いられるのではないか?
破産宣告を受けると破産宣告時のめぼしい財産は破産管財人を通じて換価処分されることになるが、破産宣告後の収入はすべて自分のものとなる。
したがって一生懸命働けば、貯金をすることも、自宅を取得することもできるようになる。
◆ 戸籍が傷つくことはないか?
破産宣告を受けても戸籍や住民票に記載されることはない。
ただし、破産者の本籍地の市区町村役場の「破産者名簿」に記載される。
しかし、これは一般の人が勝手に見られるものではないので、心配する必要はないし、免責決定が出れば「破産者名簿」から抹消される。
◆ 会社をクビになることはないか?
破産宣告は官報に公告(掲載)されるが、会社に通知されるようなことはない。
また、万が一知られたとしても、解雇事由には該当せず、会社は破産を理由に解雇することはできない。
◆ アパートを追い出されることはないか?
家賃をきちんと払っていれば、追い出されることはない。
ただし、そのアパートの敷金・保証金が高い場合には、裁判所によっては敷金・保証金に相当する額を工面するよう言われることがある。
◆ 家財道具はどうなるか?
その家財道具や衣服が生活に欠くことのできないものであれば、それは差押禁止財産となり処分されることはない。
また、同時廃止の場合、一切の財産が処分されるということはない。
◆ 生命保険はどうなるか?
生命保険の解約返戻金がある場合は、解約して解約返戻金を債権者の配当に回すように言われることがある。
◆ 退職金はどうなるか?
破産したからといって退職する必要はないが、実務では退職したとすればもらえる金額の8分の1程度(東京地方裁判所の場合)を債権者に配当するよう言われることがある。
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