免責の決定・不許可はこうして決まる
自己破産の申立ては、最終的に免責を得るためにするのであるから、免責決定がなければ意味のないこととなる。
しかし、あまり心配することはない。
免責の申立てをした結果、免責の決定がなされたケースは約95%と、ほとんどの場合に免責決定がなされているからである。
免責は、裁判所が審理した結果、免責不許可事由がなければ、免責決定をしなければならないことになっており、免責不許可事由には以下のものがある。
(1) 破産財団(破産宣告時に破産者が持っていた財産)を隠したり、債権者に不利益に処分したとき
(2) 破産財団の負担を偽って増加させたとき(虚偽の抵当権をつけるなど)
(3) 商業帳簿を作る義務があるのに作らなかったり、不正確または不正の記載をしたり、あるいは帳簿を隠したり、破り捨てたりしたとき
(4) 浪費や賭博などの射倖行為で著しく財産を減少させたり、または過大な債務を負担したとき
(5) 破産宣告を遅らせる目的で著しく不 利益な条件で債務を負担したり、信用取引で商品を買い入れ、著しく不利な条件でこれを処分したとき
(6) 破産原因があるのに、ある債権者に特別の利益を与える目的で担保を提供したり、弁済期前に弁済するなどしたとき
(7) 破産宣告前1年以内に破産原因の事 実があるのにそれがないことを信じさせるために詐術を使って信用取引により財産を得たとき
(8) 虚偽の債権者名簿を裁判所に提出し、または裁判所に対し財産状態につき虚偽の陳述をしたとき
(9) 破産者が免責申立て前10年以内に免責を得たことがあるとき
(10) 破産法に定める破産者の義務に違反したとき
免責決定がなされるまでの期間は、東京地方裁判所の場合、同時廃止のケースで免責申立てから約5〜6ヶ月程度、
破産管財人が選任されるケースでは破産申立てから少なくとも1年以上はかかっているようである。
さて、この免責不許可事由のなかで、もっとも問題となるのがギャンブルやバー、キャバレーなどの浪費。
これは、過怠破産罪として前記(4)に該当し、免責不許可事由と認められるが、
このようなケースでも免責決定をするか否かの判断は裁判所に委ねられており、必ずしも免責不許可となるとは限らない。
バー、キャバレーでの女遊びやギャンブルで借金を重ねたケースで、裁判所が
「過怠破産罪にいうところの浪費または射倖行為に該当するとしても過大なる債務を負担したことにはならない」
として免責決定をしたケースもある。
つまり、借金のほとんどが女遊びやギャンブルによる場合は免責は無理だが、生活費や借金返済のための借入れが多くを占めるのであれば、
たとえ借金のきっかけが女遊びやギャンブルだとしても免責はなされるということである。
このように裁判所では、免責不許可事由に該当することを認めたうえで、破産者の生活再建を考慮して、裁量により免責を許可した例は多数ある。
なお最近、一部の裁判所では、免責の判断にあたって、浪費やギャンブルなどが問題となるケースについては、負債総額の1〜2割の任意弁済を勧告し、
破産者が弁済をしたときに免責を認めるという運用がなされている。
こうして免責を得た破産者は、破産債権者に対して残りの借金の金額について弁済を免れるが、一定の債権については免責の効果が及ばないものがある。
これを非免責債権といい、以下のものがある。
(1) 租税
(2) 破産が悪意をもって加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
(3) 雇人の給料請求権。ただし一般の先 取特権を有する部分(最後の6ヶ月分の給料・民法308条)
(4) 雇人の預かり金および身元保証金の返還請求権
(5) 破産者が知って債権者名簿に記載しなかった請求権。ただし債権者が破産の宣告を知っていた場合を除く。
(6) 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金および過料
これらの債務については、たとえ免責決定がなされたとしても支払わなければならない。-----
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